4.内科受診
さて、彼女は「喉の違和感」を理由に内科に診察に行きます。
彼女は「鬱病」の知識や、自分がそういう状態なのかといった自覚はありません。
そういった理由で、喉がつかえて異物感があるという身体の異変が続き内科に行くのは自然な事です。
医院のフロントで症状を伝えた彼女は内科で診察を受けました。
「今日はどうしました?」
「はい….なんかここ数ヶ月、喉に何かつっかえてるんです….」
彼女は、「明らかに喉に異物がある」という事を確信しているので、大それた腫瘍などだったらどうしよう、大きな病気だったらどうしよう、という不安でいっぱいでした。
「咳は出ますか?痰や出血は?」
などと、おおよそ予想通りの問診を受けた後、採血をします。今日の診察は以上で、詳しくは数日後の血液検査の結果待ちです。
そして1週間後、再び赴いた内科での血液検査結果は「異常なし」でした。
「だいたいの疾患なんかは今、血液検査で8割方は判るんですよ。あなたの場合、これといって偏った数値も無く、特に異常を特定する要素はありませんね。
うん、栄養状態も良いみたいだ……」
彼女は当然納得できません。
「先生、あの、喉の奥にゴルフボールくらいの何かがある感じなんです…..」
「う〜ん、そうですか。こないだのレントゲンでは何もなかったよなあ…」
内科医は、この時点で「私の専門分野では無い」と解っているのでしょう。「心療内科へご案内します」と、この場で促しても彼女が納得しない事も。
「わかりました。それでは来週、MRIとエコーで診てみましょう」
体内の物理的な異変はこの2つでほぼ判定されます。
内科医は、まず「身体の異変ではない」という事を認識させる為に、そのような段取りで彼女を促しました。
そして、彼女はビクビクしながらMRIとエコーを受けます。