そして、彼女はエコー検査やらを受けました。




「これがさっき検査したあなたの喉から胸にかけての写真ね。まあ、こないだのレントゲンと同じ感じで見てもらっていいかな。」
 
 
「先生、見たまんまキレイな感じですか?」
 
 
「そうだねえ…….特にできものや腫瘍なんてのは……あと考えられるのは肋間神経痛とか、イヤそれは薄いなあ……」
 
 
とにかく、内科医の診察で「健康」の太鼓判を押されたのですが、彼女は腑に落ちないなんてものではありません。「ゴルフボールサイズ」の「何か」が胸から喉にある感覚は消えていないのです。
 
 
「先生、じゃあ、この感じは何なのですか……?気になって気になってしょうがないんです!何をしている時でも頭から離れなくて辛いんですけど……」
 
 
「そうですねえ、もっと精密検査したらあるいは、ですが……とりあえず、今の時点で異常は見当たりません。見ての通りですね!」
 
 
と、血液検査結果の用紙と物理的な写真結果をコツコツとペンで指し、笑顔で彼女を安心させようとします。
 
 
「では、また一週間後に経過をみていらしてください」
 
 
そう診察を締めくくり、彼女は病院を後にしました。とにかく身体に異変が無いとお医者さんが言ったんだから、安心して良いのだろうか?いまだ消えない違和感と不安と安心と、どういう心境でいればわからなくなりました。
 
そして「ゴルフボール」を抱えたまま、一週間後再び病院へ行きました。
 
 
「どうですか調子は?今日はね、院長先生が診てくれるからね!」
 
と、内科医はにっこり案内しました。
 
 
「どういう事?ヤバいの私……?」
 
 
不安が最たる感情でしたが、何だかあしらわれている様などこか抜けた雰囲気も察し、こないだとは違う診察室に案内されました。
 
そこにはやたらと陽気な物腰の院長先生が「こっちこっち!ハイ座ってー!」と歓迎してくれて、彼女は少し安心すると同時に拍子抜けしました。
 
 
「間違っても深刻な事言われる空気じゃあないな….じゃあなによ?」
 
 
フランクな口調の院長先生はこう切り出しました。
「若いねえ!それに美人だ!俺もあと10年若かったらなあ…..グハハ!」
 
 
「はは、そんなどうも……..先生。それであの喉にですね…….」
 
 
「うんうん。診察結果は一通りみたよ!なんか悩みとかあるんじゃないの?彼氏はいる?」
 
 
「はい……?」
 
彼女は少々イラっとしました。
 
 
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