【ピック病とは】


■ピック病

【pick’s disease:ピック病】

認知症の一種。特有の人格障害を呈する初老期知情意低下症。50、60代の初老期に発病することが多いが、30代からのこともある。

初期に特有の人格障害を呈し、次第に記銘・記憶の障害を伴う知情意低下症が進行するもので、脳血管性知情意低下症や同じく初老期知情意低下症のアルツハイマー病に比べて出現は稀とされる。

特に強く限局した部位によって「前頭葉型」「側頭葉型」「頭頂葉型」などに分類される。中でも多いのが「前頭葉型」「側頭葉型」。

ピック病は、初期から抽象、判断、自己批判能力を失い、社会的行動異常、注意力低下、情動の弛緩、道徳心や抑制力の低下などが現れてくる。

これまで問題なく社会生活を送ってきた者が特に理由なく社会や家庭に対して無頓着になり、自己中心的かつ抑制にかけた行動をとり、不正や虚言、性的逸脱行為、暴力や窃盗などの反社会的な行為に陥りやすいとされる。これらの行為を咎めても反省などは見られず、人格水準の低下がみられる。

病状の進行に伴い、記憶障害、健忘失語、他人の言葉を理解できない、反響言語(他人の言葉を繰り返す)などを伴うこともある。また、自発性欠如による無表情、感情鈍麻、衝動行為などを伴う精神運動性興奮が現れる。さらには、精神荒廃が著しく、無言、筋肉のこわばり寡動などの症状が出てくる。最終的には寝たきりとなることも。

ピック病では特有の人格障害が初期から見られるため、遅発性の統合失調症との鑑別が重要とされる。なお、ピック病において現在有効な薬はまだ開発されていない(2021年現在)。

 
【関連用語】
・初老期認知症 ・人格障害 ・統合失調症 ・アルツハイマー病



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