4.リーチ目
ギャンブル依存症解析 【最初から読む】
4号機「ジャグラー」のシンプルなそのゲーム性は、簡単に彼をパチスロの虜にしました。
どこか冷めていて、年中抑うつ状態みたいな性格の彼にとって、ギャンブルの新しい刺激は活力以外の何物でもありませんでした。
こないだ負けた悔しさも1日で「まあいいや」となり、今度また打ちに行くのが楽しみでなりません。
当たりを察知して「777」を揃える、それが楽しみでなりません。
その日彼は10000円を財布に、この間とは違う店に入りました。
とりあえずジャグラーを探しましたが、その店には設置されていません。
特に台の種類に固執している訳でもないので、見た目で「なんとなく難しくはなさそうだな」と判断した、比較的レトロな雰囲気の台に座ります。
4号機「ニューパルサー」を打つ事にしました。
この機種にGOGOランプはついていません。大丈夫でしょうか。
「いいか?リーチ目ってのはな、当たった時に出るいつもとちょっと違う出目だ。
それが出たら当たりのサインだから、次ゲームは7とか狙え!
だいたい台のとこにシールでリーチ目のパターンが書いてあるから…………」
という、先輩に教わった前知識があるので大丈夫です。
リールの下の辺りに「リーチ目シール」は確かに貼ってありました。
「7、カエル、カエル」
「BAR、カエル、BAR」
「チェリー、回転中、7?」
解らないのもありましたが、だいたい雰囲気は理解できました。
「ボーナス絵柄が規則的なパターンで止まれば、って感じっぽいな。よし…..!」
確かにそれでだいたい合ってます。
この頃の「4号機Aタイプ」と呼ばれるリーチ目マシンは、規則的でキレイなリーチ目が魅力の一つでした。
ニューパルサーは、大量リーチ目とリール制御が絶妙なバランスでゲーム性を演出し、今や伝説となるくらいの名機です。適度な波の荒さと、シンプルなリーチ目からマニアックな目まで、そして高度なリプレイハズシと設定判別などなど、老若男女幅広く受け入れられていました。
そんなこと彼はこの時点では一切知りませんが、とにかく純粋にパチスロニューパルサーを楽しんでいました。
「7は見えるな。これなら大丈夫…..」
「これ、入ったか?いや、だめだ揃わない。ここのBARがもう1コマ下だったらなあ…..」
「カエルの絵柄カワイイな。見えねえけど….」
缶コーヒーを台の横の隙間に置き、煙草を何本か吸いながら、まだおぼつかない手つきで夢中でニューパルを打ちました。
しかし、10000円を入れてもリーチ目が出ません。
「シャレにならん」
「10000円はシャレになんないよ…..」
と、憔悴した顔色で一度店を出ました。
しかしおさまりがつかない気分です。
「リーチ目ってのが見たい」
まだ時間は午後を少し過ぎた頃です。
彼はお金を取りに家に戻りました。