14.自責の念に差し伸ばす手
ギャンブル依存症解析【最初から読む】
依存症の正体は満足感を得る対象の倒錯だと考えます。
心底欲しているモノや体験などを得るのが難しい為、短絡的な刺激を永続的に続ける。
その代替行為がクセになってしまう悪しき習慣と捉えます。
「悪しき」と表現したのは、依存症の人間は例外なく「解ってはいるがヤメられない」罪悪感を常に抱えている為です。
では何故、罪悪感を抱えるのかというと、依存の対象と関わり続ける事によって「他者に少なからず迷惑をかけている。そして、自分の為にもなっていない行為だ。」と理解した上で依存し続けているからです。
当人はさぞかし苦しい心境でしょう。
でも、そこに正面から立ち向かい依存を断つ、本来自分が欲している人生に真っ向から突き進む!
という思考回路は、博打行為で自ら構築した「脳内麻薬ループ」の支配下にある「依存習慣」が許しません。
「あなたは、本来ギャンブラーになりたかったのですか?」
「いや、違いますよ。」
本来、彼はスロットを打ち続けて金を増やすのが目的ではありませんでした。
ギャンブルの快感に目覚めてからは、刺激を欲するのが目的でした。
そしてその刺激を得る続けるには、どんどん金が減る事が解りました。
しかし、やりようで勝ち続ける事も知り実証もしました。
この時点で彼は、「アラジンA」や「大花火」などの台でよく負けていました。
500ゲーム程度でBIG20発を叩き出す「アレックス」の裏モノで大勝ちしたり、
REG 11回、BIG 0回という恐ろしいデータカウンター表示を見せた「大花火」の裏モノで負け続けたりと、コンドル時代のコツコツ金を増やした感覚はみられず完全にただの博打でした。
なにも考えず打てば往復ビンタのような収支でどんどん金が減る事も実証しました。
「このころ負けまくりだね…….ちょっとギャンブルは休止して借金分だけでも働いてなんとかしようって発想は無かった感じですか?」
「ありましたけど、ギャンブルで取り戻したかったんですよ……」
「でも、それは無理難題だって解って打っていたんですよね?」
「はい。でも、ちょっとの希望が捨てきれないっていうか、また勝ち続ける事が出来るって頭にしみついちゃって…..」
「ギャンブルでの理不尽な負債は、ギャンブルで理不尽に勝ってなんとかするのがベストな感じ?」
「その心境、凄く近いです!」
「そんな理不尽なんてまかり通る訳ないんだけど……心の底からギャンブルは最終的に負けるものだってあなたが思えればね。やっぱコンドルのせい?」
「いえ、現実から目を背けていただけですね。」
「お、解ってはいたんだ….じゃあやはり自責の念というか、常に後悔しながら日々過ごしていた訳ですよね?」
「ええ。でも、また勝ち続けるとやっぱり問題無い、みたいな気になっちゃうんですよ。」
「また勝ち出したんですか?その爆裂AT機で?」
「いや、キングパルサーっていう台がありまして、このテの仕組みの台でまた勝ち出したんです。コンドル時代みたいに。」