20.鬱病や不安障害、各種精神疾患の症状
ギャンブル依存症解析【最初から読む】
ギャンブル依存症には「合併症」が伴います。
日常的な賭博行為による金銭的なダメージや、家族を始めとした周囲の人間に負担をかける事も厳密的にはそう捉えられますが、もっと直接的な症状がみられるのがギャンブル依存症の特徴です。
軽度のものだと慢性的な腰痛や頭痛などです。
相当な光と音量、絶えずたちこめる煙草の煙の中で長時間目の前の機械と向き合う訳ですから、眼精疲労や耳鳴り、軽い目眩などもよくみられます。
パチンコ店でプレイ後の方々はまるで重労働後の様な面持ちです。
打たない人間からみると、何かが共通した同じ様な顔つきをしている印象すら受けます。
彼の場合だと、決して軽度のギャンブル依存症ではないので合併症は「心療内科」や「精神科」で診断されるレベルでした。
彼の身体の最初の違和感は「喉がつかえる」というものでした。
そのうち喉や胸のあたりに「何かがつっかえている」感覚が常にあり、四六時中気になってしまう程の違和感でした。
これは鬱病や各種の不安神経症の慢性症状にもみられるもので、「ストレスボール」なんて呼ばれたりするものだと思われます。
条件は、「実際に喉や胸部に異物や疾患は無い」「そのうえで異物感を常に感じる」おおまかにこの2点です。
彼はすでにギャンブルが強迫観念になっていて、打ちたくない時でも打ってしまうという「自制が欠損した状態」なので、心ないし精神や脳がなんらかの信号を発し異常を伝えます。
心が悲鳴を上げていれば悲しくなるし、精神が耐えられなければおかしくなり、脳は正常な機能を保てなくなります。
自身で葛藤する両極端な(この場合、打つべきではないが打ってしまう)感情が自分自身の中で戦争状態であれば、当然どちらもダメージを負う事になります。
互いに無傷でいられるわけがありません。
ギャンブル依存症の人間の場合、心と身体と精神と脳、その全てに異様な負担がかかっている状態が永遠に続きます。
(精神とか身体以外にも魂やら守護霊様やら、はたまた分け隔てなく総じて一つの自我が、などなど様々な解釈は各分野であるでしょうが)
例外は、「何の疑問も葛藤も抱かず博打を打ち続ける人間」です。
彼は胸の異物感以外にも、「身体の一部分の痺れ」を常に感じたり「現実感の無い感覚」や「ふらつく程の目眩」、「理由のない不安感」など、立ち代わり様々な症状を体験しました。
「足を組んでいる片足だけが自分の足じゃない感覚」など具体的なものも多く、とにかく体験した事のないあらゆる症状が次から次へという印象でした。
いずれも先述した鬱病などにみられる身体症状で、現実感の異常や不安感などはパニック障害の症状にもみられ、身体の一部のみ認識がおかしい感覚は、統合失調症にもみられる症状です。
脳内の神経伝達物質のバランスが偏り、身体や精神が誤作動を起こしていると解釈すると早めに医者に行くなりするのが良いのかもしれません。
ただ、彼は全ての違和感の原因はギャンブルで狂った自分だという事を一応自覚しています。
病院に行って解決すべき事ではないのが解っていたので、ただ苦しんでいました。
以下もギャンブル依存症の特徴です。
「本人は本気で苦しんでいて助けて欲しい」
「助かる方法はハッキリと解っている」
「しかし、助けを求める事ができず一人で苦しむ」
はたからみれば自業自得の馬鹿野郎で間違いないのですが、羅患者にしか解らない苦しみを伴うといった点では精神疾患とも言えるのでしょうか。
(国際保健機関であるWHOではギャンブル依存症は精神病との扱いです)
ギャンブル依存症の人間は
「俺はギャンブル依存症って精神的な病気なんだ、だからしょうがないんだ」
と、なかば開き直ってる人よりも
「俺はギャンブル依存症のどうしようもない人間なんだ、何とかしないと」
と自分を責める人の方が圧倒的に多いと思います。
自責の念ほど当人を苦しめる感情は無いと思います。
そこに環境的なストレスと金銭的なダメージと、快感に逆らえない自棄からくる孤立感。
それらも加えると、もう苦しいというか地獄に居る感覚でしょう。
彼はこの数年後、ギャンブルと決別して以来は当時の心身の違和感や体調不良は一切消えたとの事です。