ギャンブル依存症解析【最初から読む】




「4号機パチスロ北斗の拳」がホールを賑わしていた頃、看板機種として同じく絶大な人気を誇っていた「吉宗」という台がありました。

 

 

この台は「ストック機能」と「モードによる消化数ゲーム」によりボーナスが管理され、更には「1ゲーム連荘」が最大のウリの、当時最高クラスの爆裂仕様。荒波の申し子の様なスペックの台でしたが、「キングパルサー」時代のストック台で安定した収支を得ていた彼には、うってつけの台でした。

 

キンパルなんかと同じ様に「ゲーム数解除」の濃いゾーンだけを打って当たらなければすぐヤメて次の台を探し、当たればその後は連荘が続く限り打ち、193ゲームまで到達したらヤメる(キンパルの128ゲームヤメにあたるライン)事で、思いの他カンタンに勝っていました。

 

もともと「1ゲーム連のヒキ」次第で機械割の数値などまるで無意味になるくらいの確率とBIGボーナス枚数(711枚)なので、彼の作戦勝ちなのかヒキ勝ちだったのかは解析不能です。

 

彼の当時の感覚的には

「BIG4回に1回以上は1ゲーム連を引いていた。夕方から1万枚出た事もあった。」

との事です。要するに「吉宗」に於いてはだいぶヒキが強かった様です。

 

そしてその分「北斗」で負けていた様です。

では何故、勝てる「吉宗」だけを打たなかったのでしょうか?

クランキーコンドルやキンパルの頃の様に「徹底した自分ルール」の上で打てば勝ち続けられる事を彼はせっかく実証したのに。

 

 

答えは簡単で、北斗を打ってる方が彼にとっては面白かったからです。

加えて、彼の根っこの感情は「ギャンブルで勝ちたい」ではなく「ギャンブルでアツくなりたい」からです。

作戦通り勝ってもさほどアツくはなれないからと言ってリスクの高い方を選ぶ事は、収支よりも賭博行為そのものの魅力を重視している証拠でしょう。

 

 

 

ギャンブルで勝った時の興奮度と負けたときの興奮度、同じ金額の勝ち負けでも興奮度は等しくありません。

これはギャンブラー万人共通で、「勝った時よりも、負けた時の方が感情がより大きく揺れ動く」という逆らえない法則がある様です。

現金を失っている時の方が圧倒的にエネルギーを発します。

 

 

 

ギャンブラーにとって最も面白くない結果は

「ちょい勝ちか、ちょい負け」もしくはプラマイゼロの収支です。

そうすると、リスクを背負ってでもアツい結果に向かう行動をとります。

 

そして高確率で負けが込みます。

負債が膨らんだタイミングで「依存症か否か」が確実に判断出来ます。

 

依存症でない人間は負債が膨らめばブレーキを踏みます。

依存症の人間はブレーキを自ら破壊済みです。その分アクセルが強化されています。

 

狂った脳内神経伝達物質のバランスは正常な判断など絶対に下しません。

ギャンブル依存症の人間は、負債に対する対処法や選択肢は1つしかありません。

ギャンブルを永遠に打つ事です。

 

 

 

ギャンブラーにとって最も面白い結果は

「有り金の最後の賭金から大逆転のプラス収支」です。

 

死ぬ寸前から生き返った様な快感と安心感を得る為には「一度死にかける」段階を踏まなければなりません。

 

だから死にたがる、と解釈すると乱暴ですが、ギャンブラーの破滅欲を分析するヒントとはなりそうです。

故に、真のギャンブラーは負ける事を嗜みとしているのではないかという仮説が出てきます。

その辺りを説明、実証するには「人間の根源的な欲求」のひとつである「破滅欲」といいましょうか、生きながらえながら「死にたいという欲求」を加えて考慮する必要があります。

 

 

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