ギャンブル依存症解析【最初から読む】





 
アラジンAやミリオンゴッドといった爆裂AT機人気も落ち着きだした(強制撤去も含む)2003年ごろ革命的な新機種が登場しました。

 

 

AT機やストック機などが主流の中、その両方の特性を兼ね備えたボーナスシステムを搭載した「4号機パチスロ北斗の拳」です。

この台は後にギネス級の設置台数を記録し、「4号機ミリオンゴッド」とはまた違った意味で社会現象にすらなりました。この台がきっかけでパチスロにハマってしまった、なんていう方も多い様です。

 

 

その斬新なボーナスシステムは、パチンコの確率変動連チャンのそれに近いノリで特筆すべき点は

「変動する確率も大当たり時に抽選する」といったものでした。

 

例えば連チャン確率が66%であったり84%であったりと、「当たる度に異なる数値を抽選」して一回あたり140枚程度の払い出しのボーナスが抽選された確率に応じて連チャンする仕組みです。

 

そしてどれくらいの確率に当選したかは、原作の世界観を的確に表現した演出で示唆されるという感情移入のしやすさもあり「とにかくアツくなれる台」でした。

 

5万枚も出たり、一日に20万負けたりする様な爆裂AT機のそれと比較すると少々おとなしめなスペックであった事もあり、当局(取り締り機関の様なもの)に目を付けられる事も無く、息の長い超人気台として当時のホールを賑わせました。

 

 

 

以前の記事でも述べましましたが「パチンコ、パチスロの最大の魅力」及び「中毒性の最たる要因」は「期待以上の成果を得られる可能性」=「どこまで連チャンするかわからない」その不透明な希望感が抱ける事です。

 

これにより、「いくらでも現金をつぎ込む」異常行為が可能となります。

かなり負けていても一度の大連チャンで取り戻せる可能性が常にあります。

この「パチスロ北斗の拳」は一度の大当たりが「毎回確率変動大当たり」なのです。

恐らくパチンコパチスロ打ちにとっては「完璧な仕組みの台」であったとも言えるでしょう。

 

 

常に連チャンが期待出来るという事は、常に希望をもっていられるという感覚な訳ですから、頭の中では脳内麻薬が常に準備状態でいられるという事です。

この状態こそ、ギャンブルのみならず各種依存症の人間の精神状態です。

「辛い状況であっても、その快感を待っていられる状態」です。

 

 

冷静な判断などは持ち合わせず、ただ目の前の快感契機を欲する事のみが思考を支配します。

少々乱暴な表現をすると「自らの生産性を放棄した消費動物」と言いましょうか、与えられた快感契機のみを追求するだけの、おおよそアイデンティティの欠いた行動を繰り返します。

そして、その状態である自身に疑問を持たなくなります。

自らの倒錯した嗜癖に逆らう事はしません。

ただ、目の前の快感に絶対服従です。

それが生活目的の全てとなります。

 

 

当人が快感を得られるという一点の利点の他には、誰の為にもならず、更に自身の尊厳をどんどん失い、結果、「非生産的な快楽主義者」と化すまでには大した時間を要せず辿り着けます。

 

「非生産的な人間」とは、他者の為になるあらゆる行動や労働、創作などを放棄した状態です。

要するになまけものです。

これに「快楽主義」ひいては特定の快感欲求にとらわれた依存状態が伴う事により、主題である「ギャンブル依存症」となります。

それは、おおよそ自分も他人も望まない不毛な人間のかたちです。

 

 

 

 

 

すでにギャンブル依存症であった彼は、その斬新なボーナスシステムたるやどんなものかと打ってみると、彼はもうギャンブルの神様というか悪魔というか、何かそのような存在しない象徴に魅入られている様で、初回のボーナスで大連チャンを経験します。

 

 

「すげ!いきなり19連もした!カンタンな台だなしかし……!」

 

彼はここから再び博打で負け続けます。

 

 

 

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