ギャンブル依存症解析【最初から読む】





 

斬新なボーナスゲームを搭載した「4号機パチスロ北斗の拳」に簡単にハマった彼は、この台では勝ったり負けたりでした。

 

 

ギャンブルに於ける「勝ったり負けたり」は、確実に負けている事になってしまうのです。

競馬場やカジノでは入場料があります。

雀荘では半荘ごとにゲーム代を徴収され、更にトップの客から「トップ料」と呼ばれる税金の様なものを徴収されます。

 

仮に、客のトータル成績が勝ったり負けたりの圧縮点である「プラマイゼロ」の収支結果であったとしましょう。

その場合、客は入場料やゲーム代の分がマイナスとなり、胴元である店側は利益を得ています。

国営ギャンブルの場合はあらかじめ20%程度のテラ銭が設定されているので、客がどんな成績であろうと胴元は永遠に勝ち続けます。

 

中には勝ち続ける客もいますが、基本的に9割の人間の負け分が、1割の人間と胴元を潤している構造なのが「ギャンブル場の定義」です。

割合はざっとですので、もちろん正確ではありません。

 

要するに負ける人間の割合が圧倒的に多く、胴元は必ず勝つ。という事です。

そうでないギャンブル場は確実に潰れます。

 

 

 

パチンコ店も、等価交換ならテラ銭ゼロの初期リスクゼロと捉える事も出来ますが、あの手この手でだましだまし客側の差玉を抜く事に手を緩めたりはしません。

 

大昔で言ったら「裏モノ」を設置して従来の機械割(Pay out率)を大幅に下げたり、大胆な遠隔操作で大当たりを操作したりです。

このあたりは一般メディアでも「摘発」や「違法台撤去」という形で報道されたので周知の事実です。

 

しかし近年のパチンコ店側の操作に関しては、一般的に明るみに出ません。

インターネット掲示板や個人サイト等では弾劾されていますが、その情報を信じるか信じないか、といったところです。

 

 

「遠隔操作による出玉操作や、違法改造した台の設置は法律により厳しい罰則が課せられる」

「差玉の管理をコンピューターで行う事は違法ではない」

 

 

この2点は事実です。

どう解釈するかで、パチンコ店はただのギャンブル場なのか、風営法に基づいた遊技場なのか、サマが付き物の鉄火場なのか、意見が分かれる事でしょう。

 

 

 

彼には、全ての解釈とその理由が判ったうえでギャンブルを打ちます。

ストック機の特性を把握して立ち回る事で「1割未満の勝ち客」だったのに、さっさとまた負け組に成り下がりました。

4号機パチスロ北斗の拳は彼にとって面白すぎた台だからです。

 

設定6だけ打ち続ければ、北斗でも勝ち続けるでしょうがそうはいきませんでした。

やはり彼は、勝つべくして勝つスタイルを徹して金を得るという快感よりも、ただギャンブルでアツくなりたいという悪癖の方が強いのです。

そのうえギャンブル脳はだいぶ前から仕上がっています。

そしてギャンブルが原因の借金が常に頭の中に棲み付き、習慣でギャンブルを打つという事を強迫観念にしてしまいます。

 

また、生半可に勝ち続けるという成功体験が何度かあったが為に、スッパリと足を洗うという発想はなかなか出てきません。

 

そうでなければここまで重度のギャンブル依存症にはなれません。

 

 

彼が24歳のこの頃から体調に変化がみられました。

それは多種多様な症状で、いくらでも病名が付けられそうな状態でした。

 

 

 

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