6.心療内科での診断
内科での一通りの診察を終え、結果「健康」と彼女は診断されました。
その後、陽気な院長先生の妙な問診を経て彼女は「心療内科」を案内されます。
ここで初めて、彼女は「身体ではなく心の病である」という認識が出来ました。
それはそうです、何となくの異変から始まり「喉の異物感」日に日にハッキリとしていき、実際に胸は常に苦しかった状態が続いたのですから。
そして心療内科で診察を受けました。
問診の前に、ペーパーテストの様なチェックシートに記入します。そこに記されている質問事項は、彼女のメイン症状である喉や胸のつかえなどに直接関係ない項目ばかりです。
「やる気が起きない」
「朝なかなか起きられない」
「何をするにもおっくうだ」
「仕事などでいつもより些細なミスが目立つ」
「死ぬ事を考える」
「背中の痛みを感じる」
「胸が苦しく、呼吸がし難い感覚がある」
「眠りが浅く、悪夢をよくみる」
「とても悲しい気持ちになる」
「自分自身に失望している」
「いつもより食欲がなく、体重が減少した」
「他者に対しての感心が薄れた」
「罪悪感を感じる」
これらの項目を段階別、度合い別にチェックをするものでした。
内科での診察内容と明らかに違う事に彼女は驚きます。そして、当てはまる項目の多さにも驚きます。
そのシートをもとに問診を受け、彼女は「うつ病」と診断されました。
時間にして20分程度の問診でハッキリと病名を言い渡された彼女は、今まで味わった事の無い怪訝な感情と不安が入り交じります。
しかし、内科での一連の診察よりも、ハッキリとした結果に少々の安堵も感じました。
先生の話を聞きます。
「…….そういった訳で、まずは処方する薬を服用してもらって、様子をみましょう。お腹の薬とか頭痛薬と違ってすぐに効き目が現れるものではありません。『ぜんぜん効かないなあ』って、2~3日で飲むのをヤメてしまうと効果がわかりません。その点は注意してくださいね。また再来週に来て頂いて、お話しましょう!」
彼女は、あまりにハッキリした診断とテキパキした対応に戸惑います。
でも「なんとなくわからない不安」よりはマシだなと思い、薬を受け取って帰りました。
彼女はSSRIと分類される「抗うつ剤」とオマケの「睡眠薬」と「胃薬」を処方されました。