22.ギャンブラーの潜在能力
ギャンブル依存症解析【最初から読む】
ギャンブラーに特定せずとも「破滅欲」は人間の根底にあります。
ポップな解釈をいくつか挙げると
例えば、スピード狂が首都高を180km/hで突っ走り、各コーナーでは華麗なドリフトまでかましたとしましょう。
事故死する寸前までの行為あっての快感で、そのスピード狂は事故死までは望んでいません。
例えば、リストカットを繰り返す行為が病み付きになってしまった方が仮に居たとしましょう。
実感認識の逸脱あっての快感で、失血死までは望んでいません。
各種非合法薬物に手を染める方は、ただ快感を求めて接種をします。
麻薬中毒者は禁断症状の末の衰弱死を求めている訳ではありません。
そうすると「破滅欲」とは、言葉とは逆に破滅を拒否しながら生命あっての快感と実感を求めているという事になります。
必ず依存が伴うといった点で、ただのストレス解消行為とは反します。
人間の根底にあるの「破滅欲」とは、「死にたい欲求」ギリギリ手前の「生きたい欲求」と解釈できる変態行為ではないでしょうか。
ストレートな「生きたい欲求」や「生きるエネルギー」は、せっせと働いて愛する異性と共存を基礎とした社会生活を望み、常に将来のビジョンを描きながら生産的に人生を過ごし、次世代へと繫げるべく日常を送ります。
ギャンブラーはそれを根底から欲していません。
先述の「変態行為」とは決して非生産的のみの行為で終わらず、「正常でない解釈から別の角度で本質を求める行為」でもあります。
ギャンブラーの資質として備わる「破滅欲」や「虚無感」は、正常な行為では得られない満足感や退屈感からくる「慢性的な不満」と解釈出来ます。
その鬱屈したエネルギーは「破滅欲」や「死にたい欲求」をこじらせ、本人を破綻させる事の方が多いのです。
こと、ギャンブル依存症に陥った場合は。
文字そのものはネガティブなイメージしか与えませんが、「破滅」や「希死」のエネルギーは基本的な人間の欲求に誰しも備わっていて、それらは「死」そのものに直接向かうのではなく、そのギリギリすぎる過程の中で「人間の可能性そのもの」を追求する、必要不可欠な原動力なのだと私は思います。
最も懸念すべきは、そのエネルギーを簡単に昇華する事が可能な環境で囚われ続ける事です。