ギャンブル依存症解析【最初から読む】




そういった訳で、彼はギャンブルをヤメる決意をしました。

 

どうやってヤメたのでしょう。

 

「打ちに行く選択肢を無くせばいい」
だなんて、正直意味が分かりません。

 

 

 

「意味が分からないんだけど、どういう事です?」

 

「かんたんだよ。いつも行く様な時間帯、バイトする事にしたんだ。物理的に行けない様に。」

 

「いや、失礼ですけどギャンブル依存症でなまけもののあなたにそれは無理でしょうよ……?」

 

「いやあ、腹くくって決めちゃったら出来るよ。ちょうど夜11時まで数時間働ける運送倉庫のバイトがあって。
11時になっちゃえばパチ屋は閉店だからうってつけ。」

「土日は終日のティッシュ配りやったよ。週払いのやつ
超さむかった!」
「いやいや、続かないでしょうよ?
平日ふつうに仕事して、そのあと11時まで倉庫でバイトして土日はサンプリングのバイトでしょう?倒れますよ。」

 

 

「ある種のさ、罰みたいの受けないと駄目だと思ってたくらい罪悪感に苛まれてたから、休みなんて無くて丁度いいくらいの心境だったよ。」

 

そうですか。まあ、よっぽど堪えたギャンブル生活だったんですね。
地獄とか言ってたくらいですしね。

で、やっぱすぐ打っちゃったんでしょ?フフフ。」

 

 

「打ちたかったね!だってミリオンゴッドのまた新しいの出るって聞いてさ、ホント打ちたかった」

 

「GOD引けました?ほら、一時期の鬼の様なヒキで…….」

 

「いやいや、バイトで行けないから無理だよ。
サボって打ちに行くのは簡単だけどね」

 

「それこそ洗脳が解けたかの様な行動ですね?
ふつう、サボって朝から新台GOD打ち行くでしょう?中毒なんだから。」

 

「うん。そう。確かに行こうと思えばサボって行ける。
でも結局、バイトやった12月いっぱいは全く行かなかった。」

 

 

「禁パチ1ヶ月クリアというトコですね?
またいつフラッシュバックすることやら………
そんなに甘いモノではないんですよ!ギャンブル依存症ってやつは!
骨の髄まで染み付いて行動と思考を支配するモノなんですよ!」
 
 
「いやあ、そんな急に凄まれても、ヤメるって決意したらヤメますよ。男の子ですもの。」

 

 

「いやいやいや、『ヤメると本気で決意したらヤメられる』で済んだらGA(ギャンブル依存症更正施設)は要らないんですよ。精神科医もいらないんですよ。闇金や消費者金融も要らないんですよ!」

 

 

「…..なんでそんなに興奮してんの?おちついて。発泡酒のむ?」

 

「要りませんよ。」
 

「そうだ、そういえばあなた借金はどうしました?だいぶツマんでいたでしょう……100や200じゃきかないでしょう?」

 

 

「ああ、それはですね、法律が変わった時に業者とやりとりして清算したよ?」

 

 

「過払い請求ってやつですね?
恥ずかしくないんですか?自分の博打癖を弁護士に尻拭いしてもらおうだなんて!」

 

 

「思った。さすがするどい。だから全部自分でやったんだ。手前のケツは手前で拭かないとギャンブル依存症から抜け出せないもんね!」

 

 

 

 

 

 

まあ、人によるでしょうが、彼が依存症から脱したのはそのへんの「ミソギ」的な体験を経て自分で納得出来る結論に行き着き、行動が遂行できた様でした。

 

 

そういう事がキチンと出来る人間が何故ギャンブル依存症でもがいていたのか、不思議です。
ギャンブル依存症に陥り、そこに浸り続ける仕組みは私は解明できますが、実際の体験者の感情までは全く理解出来ません。

 

 

 

 

 

 

 

 

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