パニック障害:ケース1



 
パニック発作の事など彼はもう忘れかけています。
 
ただの話のネタとして彼の中では処理された様です。
 
彼が「パニック発作」を起こしたのは、家でリラックスして漫画を読んでいるときでした。それ以来、なんともありません。
 
あれだけの恐怖体験をしたのに「幽体離脱して宇宙に行った」というファニーな解釈で片付けて、その後はケロリとしています。彼はとても朗らかで明るい性格です。
 
しかし、パニック発作は再び彼を襲いました。二回目の発作は、シチュエーションが全然違いました。一人くつろいでいるところではなく、「授業中」でした。
 
教科書を朗読します。
先生に指された生徒が起立して教科書を読み上げる。どの中学校にもある風景です。
 
「ああ、前から順番にきてるな。こっからココまでだから….オレまで回って来るなめんどくせえ…….」
 
そんな感じで、「いつもの彼の心境と精神状態」でした。
 
 
「ハイそこまで。じゃあ次」
 
 
「うい。ガタッ」
 
 
別に何と無しに彼は教科書を朗読します。
 
彼は朗読が苦手でもなく、特にあがり性でもありません。淡々と教科書を読み上げます。特に感情も込めずに、棒読みに近い、実にめんどくさそうな朗読です。
 
 
「早く終わんねえかな。なんか長いなこの詩。」
 
 
そう思ったあたりから、「突然」ではなく「ジワジワと」あの感覚に襲われました。
 
「んん……?なんかおかしいな?ふ、震えるな?ちょっとまてなんか心臓バクバク言いすぎだろコレ….いやまて何か死にそうだ!ああコレこないだの、うわやべえ、やべえ!とにかくやべえ!なげえ詩だなコレ!あと何行読めばいいんだよ、やべえ!逃げらんねえ!苦しい、上手く読めねえ、ダメだろコレ!うわ何だコレ、凍る!ヤバい………..」
 
 
これが彼の「二回目のパニック発作」でした。
 
 
 

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