パニック障害:ケース1





マツキヨとか一般的な薬局ではパニック障害の直接的な薬は販売していません。「デパス」など、比較的有名?な薬も売ってません。現在でこそ、ネットを使ったりしての購入も可能ですが、当時1990年代初頭ではまず無理な話です。そもそも「パニック障害」という病名自体がほとんど浸透しておらず、一般の方は聞いた事もない病名です。
 
 
「パニック障害では死なない」という事を彼は膨大な文献から知りました。
 
「パニック発作」の何が彼にとって一番の恐怖だったかというと
 
「パニック発作の死にそうな感覚」です。
 
「パニック発作の死んでしまいそうな感覚」、それ自体が死因になることは無い。パニック障害で発狂して死亡。それは無い。と、そう心底理解できました。この結論は、2017年現在でも変わっていない精神医学的解釈です。パニック発作で死んだという例は聞いた事もありません。
 
 
彼は安心しました。
 
 
パニック発作は相変わらず恐怖の対象ですが、「パニック発作では死なない」という理解はとても大きなもので、半分は心が軽くなりました。
 
そこで、何故「パニック発作では死なないのか」を軸に調べたり、「パニック発作の死にそうな感覚」の正体について調べたりしました。
 
脳内伝達物質の分泌異常、自律神経の暴走、扁桃体の仕組み、脊髄反射の誤作動、などなど様々と説明のつきそうな内容がいくらでもでてきました。
 
彼は、「正体不明の恐怖感」から「パニック発作という精神、脳の疾患からくる症状」という解釈を、文献や事例から認識したのです。
 
 
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