パニック障害:ケース1





「自分がパニック障害になりかけている、と判断できたので、やや敷居が高いとは思いつつも精神病棟の扉をリアルに開いた。意を決して!でも、おちょくられた感のある受付嬢の対応に、中学生の君は冷静ではいられずにホントにマトモに診察してくれないと感じて、堪らず出てったと。要はそういう事ですの?」
 
 
「まあ、まあまあ、要はそうですけどね……あのとき僕は、心の底からココなら何かしら絶対助けてくれる! と、信じてたんですよ?だって精神病棟ですよ?」
 
 
「なるほど。あまりに未知すぎて逆らえない恐怖と不安に対する強力なお助け要素に対しての希望が一瞬で吹き飛んだと….」
 
 
「まあ、ざっくり言うとそうですがね…….でもタケイさん。その時の僕の気持ちが解りますか?! 絶望の2文字ですよ?」
 
 
「いや、まあお察ししますが、解りませんよそんなの……他人の気持ちが口頭で理解できれば世話ないですよ。
だからこうやってテキストに残して解析してってるんですから…….あ、ちょっと冷たい言い方してしまいましたが、私は貴方の味方ですからね!安心して!」
 
 
「何だよそのキモい満面の笑顔は。まあいいや、ちょうどそんな感じの雰囲気でした。あの受付嬢も。」
 
 
「おお。ちょっとその時の空気感が理解できました….! ……それで、そのあとどうしました?この流れだと、その一件で絶望と恥辱にまみれて、帰って布団に潜り込んで、とはならなかったと予想出来ますが?」
 
 
「まあそうだね。とにかく、その一件で精神科に対しては不信感しか無くなった訳ですよ。そしたら、もう自分でどうにかするしかない。あいつらムカつく。とね。」
 
 
「暴言ですねしかし……パニック発作と予期不安で怯えていたとは想像つきませんよ。中学生で若かった、てのもあるんでしょうが。で、具体的にどうしました?もう授業を受ける為に着席しているだけでも気が気じゃあない状態でしょう?」
 
 
「そうだよ。ホントに理不尽な怖さだったよ。それで僕は考えたんだ! 結論から言うと、まず薬局に行きましたね。」
 
 
「なにこわい………」
 
 
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